第3話 希望をもたない

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「そういう遠回りはぜったいにしない」 私の腐れ縁話にゆい子が参戦する。 パソコンから顔をあげて身をのりだしている。 「私は結婚にしか興味ないから鈴花がやってるような遠回りはぜったいにしないんだけど。年下はありだと思う」 で、その年下どうなの? どうなのって何がよ? だから恋愛に発展するとかしないとか? う~ん微妙。よくわからないなぁ~。 そりゃ年上のシェフ、ムツオと出あった時は、ぐぐぐっと音が鳴るくらい惹かれました。それは確かです。取材中もずっと目が離せなかったし誘われた時は待ってました!ってホームランの的にボールが当たったような感じでうれしかった。 今回はそういうのと違って。 私? なんで? って感じ。ガツガツ食いついてくるわけでもなくて気に入られてる感じもあんまりしないし。なんなんだろ?ってこっちが聞きたいくらい。 「じゃあからかわれたんだ」 小さな化粧鏡でマスカラを塗り直す結婚願望処女。 あ、はっきり言いますね。 からかわれるほどのことも何にもしてないんだけどねー。 その日はずっと一日頭の中であのご飯は何だったんだろう?って反芻。
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