4人が本棚に入れています
本棚に追加
体育の授業中、サラは体育館でバレーボールをしていた。
「サラ、どうしたの?」
「ゴメン、ゴメン。行くよ!」
彼のことを思うと、いつも不安になる。
子供だと思われているだろうと、いつも自信がなくなる。
ネット越しにいたクラスメートの一人、胸の豊かな友だちを見た。
パットを何枚も重ねなくても、彼女の体操服は丸々と膨らんでいた。
「ヤッタネ!」
同じチームメイトがサラのスパイクを賞賛する。
床に倒れ込んだ相手チームの女子が、悔しそうに立ち上がった。
「ソーレ!」
今度は長いラリーとなる。
サラはボールの行方を追いながら、チャンスを待っていた。
「ナイス、サラ!」
体勢を崩しながらも振り抜いた腕は、相手コートの隅にボールを飛ばした。
この頃、クラスメートの女子は二分していた。
身体がふくよかになり、胸も大きくなった娘はあまり体育で飛んだり跳ねたりしていない。
胸の小さなサラみたいな女子ばかりが、体育でも全力なのだ。
「サラ、本気出し過ぎ!」
相手チームの女子たちからブーイングが飛び出す。
彼女たちはサラよりも大きな胸を揺らしながら抗議した。
「一気に勝ちましょう!」
「嗚呼、うん。そうだね」
同じチームメイトの一人がサラに言った。
痩せた彼女もやはり胸は控え目だった。
「ソーレ!」
サラは胸が小さい事でコンプレックスになっていた。
揉めばイイと聞けば真似てみたし、発育に良い食材があると聞けばそれを好んで摂取した。
「ペッタンコな女の子、好きにはなってくれないよね?!」
「サラ!」
不意に飛んで来たボールにサラは空振りした。
好きだからこそ、彼に喜んで欲しい。
男の子は誰もが大きな胸の女性を好きだと信じていた。
最初のコメントを投稿しよう!