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「夏期講習はいつからですか?」
「来週だったかな……」
数年の年の差とは言え、ケイトとサラは根本的な何かが違っていた。
「サラちゃんは?」
「私も来週」
「そうそう、サラちゃんって東大クラスなの?」
「それ受付のオバサンでしょ? 全くおしゃべりなんだよなぁ」
サラは急にウインドショッピングを始めた。
「嗚呼、可愛い!」
ブルーのTシャツを胸に合わせ、ケイトに見せた。
「ピンク系なら最高なのに……」
サラが他の色を探していると、店員が近付いてきた。
「人気なんですよ。入荷すると直ぐに売れちゃって」
「ピンク系無いですか?」
「ごめんなさい。ここにあるだけなのよ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
サラと店員が言葉を交わしている間に、ケイトがTシャツを手にとった。
間違いない。さっきユカリが見せてくれたTシャツだ。
「ここの羽が可愛いのに……」
サラはブルーを眺め、まだ諦めきれずにいた。
「止めときます!」
Tシャツを店員に返して、二人は歩きだした。
「男の人と二人きりで歩くの初めてで緊張してる」
「ええ、全然そんな風に見えないけど」
サラなら誰とでも上手く付き合っていけそうに見えた。
「でも本当はそうなんです。ドキドキしてる!」
胸に手を当てたサラに自然と視線を奪われた。
女の子らしい白いワンピースとサラのあどけなさの残る素顔が、ケイトには輝いて見えた。
見ないようにしていたのに、ケイトはワンピースのそで口を覗き見てしまった。
脇の下の白い肌がチラチラと見えた。
「太いですか?」
「ちょうど良いと思うよ」
腕を見られていたと勘違いしたサラが、くの字に折った腕を眺めていた。
「ココ凄くないですか?」
小さな力こぶが出来ていた。
「ケイトくんは?」
「オレは……」
バイトで何かと力仕事をしている。
「スゴイ!」
サラはケイトの腕を触って来た。
「やっぱり男の人ですね」
それをきっかけに、二人は何となく腕を組んで歩いていた。
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