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眉を顰めた少女が夜の街の景色を眺めていた。
吐息は白く、たまに吹いた風で肌がチクリと痛む。
「私もなれるかな、こんなに綺麗な光に。」
「怖いのかい?」
急に背後に現れた男は優しい顔で、綺麗な声をしている。
見知らぬ男だったが不思議と恐れはない。
どこか懐かしみがある。
「うん、私怖いの。臆病なのね。」
「そんなことはないさ。誰だってそう感じるものだよ。でも大丈夫。きっと君は誰よりも綺麗な光になれる。」
「・・・私あなたを知ってるみたい。どこかであったことある?」
「あぁ。君が生まれる前にね。」
「あなたがいるとなぜか心が落ち着くの。・・・また会える?」
「きっと。」
少女の姿は次第に薄れ光となり、街に輝くどの光よりも美しく天へと昇っていった。
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