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おっ、いた。
わたしの♪わたしの♪想いを込めたチョコレート♪あなたの口に合いますか♪
私の妹は歌っている。好きな子にあげるらしい。
散歩して気合入れてくるって外を飛び出したらここにいたのだ。
声をかけるか。
「よう?寒くないのか?」
チョコレートを砕きまし……♪
「……お兄ちゃん?」
「帰ろうか?ここ、絶対夢が叶う夜景って俺が教えたもんな」
「うん」
嘘である。私は昔、彼女の失恋時にも教えたのに。彼女も分かってるはずだ。
「お兄ちゃん、これ」
「えっ?」
彼女はピンクの箱を渡してきた。
「俺に与えていいのか?」
「だって私が好きなのは兄ちゃんだもん」
「そうか」
「泣いてるの?」
「泣いてないよ。このチョコ、ここで一緒に食べて帰ろうか」
「うん」
また嘘をついてしまった。彼女が作った甘いチョコを夜景を見ながら涙が流れていた。
この日は私の失恋日だった。
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