記憶のカケラ

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「よう、叶恵」 「ひ…紘斗…。覚えてたんだね…」 「当たり前だろ。約束したんだから」 「うぅ…ぐす、約束…って…もう、い、一年も───」 「二年前だよ」 「──え」 「二年前の春にお前、事故っただろ。それまでの記憶がちょこちょこ抜けてるんだよ。二年前の今日も含まれてる」 「ご、ごめ─」 「でも、叶恵は一年前のこの日、また約束してくれた。だから二人ともここにいるんだ。それで…約束、果たすんだろ?」 「う、うん。あの…私の作ったチョコレート…受け取ってくれる…?」 「やだ」 「え…う、うそ…」 「チョコだけじゃなく、叶恵、お前も欲しい。これからもお前の記憶が少し欠けても拾って補えるように隣にいたい。ダメかな?」 「ばか…紛らわしいよぉ…」 ぎゅ 「叶恵。好きだ」 「私も…好き…」 二人は互いに目を瞑り、顔を近づけ…そして──
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