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展望台を選んだのは、キラキラ輝くネオンの力を借りたかったから。
夜を選んだのは、煌めく星に向かって、上手く行きますようにって、祈りたい気持ちがあったから。
膝に置いた箱に視線を落とす。
手作りしたチョコレート。
ラッピングだって頑張った。
勇気を出して、交換したばかりのアドレスにメールを送ったけど……。
彼は来てくれるかな……。
来なかったら、どうしよう……。
最悪のことを考えて、勝手に落ち込んで涙が滲みかけたとき、後ろから声がかかった。
「よっ、お待たせー」
軽い口調と、低くて甘い声に、ドキンと心臓が脈打った。
振り向くと、最初にピースしてる影が視界に入る。
視線を上げれば……。
大好きで、もう本当に、どうしようもないくらい大好きな彼が、笑って立っている。
「遅いよ、もう」
最初に出てきたのは、憎まれ口だったけど。
お願い、あと少し。
私に勇気を下さい。
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