青少年(笑)達とお嬢様方

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自分のスポーツバッグを置いて席についたのも束の間、 俺は休む間も無くクラスメートの相手をする羽目になった。 まあ別に休む気は無かったけどね。 「おはよう、純平君。」 柔らかく穏やかで透き通るような声に顔を上げると、そこには1人の少女が俺の机の前に立っていた。 「おっす桜子。」 敬礼のポーズを取って挨拶を返す。 こいつは桐生桜子、クラスの女子では1番仲が良いやつ。 1年の頃は首元まで伸ばした黒のセミショートだったんだけど、今は伸ばしているのか肩くらいまでのセミロングになっている。 薄いピンクのタータンチェックのセーラー服の上からクリーム色のカーディガンを着ている。 うーん…中々にいいなこれは、見とれてしまうな。 「どうしたの?」 おっと…見つめていたのに気づかれたか、怪訝そうな顔をされてしまった。 「んにゃ、何でもねぇよ。それより何か用だった?」 「ううん特に、みんなまだ来てないからさ。」 みんな…ってのはクラスでよくつるんでるメンバーの事だな。 確かにまだ来ていない。 「なるほど、そいつらが来るまでの暇つぶしってわけですね。」 嫌味っぽくそう言ってみれば、 「もう、誰もそんな事言ってないでしょ~~、」 と予想していた通り口を尖らせてムッとする。 入学したての桜子は本当に人見知りで、こんなやり取りどころかロクに話す事もなかったというのに… 慣れっていうか俺の人望が成せるワザ…ってやつ? ってハイハイそんな目で見ないで下さいよ、冗談ですから。 ジト目でこっちを見てくる桜子に手をヒラヒラと振って返事をする。 「そいや今日の1限目って何?」 「確か…数学だね。」 「げっ…俺の1番嫌いな教科や…。」 思わず俺は顔をしかめてしまった。 数字やら記号やらが並べられてるばっかで何も面白くねんだよな~~。 「ちゃんと起きてなきゃダメだよ?」 「ヘイヘイ、かいりょ~~かいりょ~~。」 お前は俺の母ちゃんかっ!! なんてツッコミを心で入れたくなったけど、何か怒られそうなので素直に返事をしておいた。 「いつも思うけどかいりょ~って変だよね?」 「バーカ、俺だけが使うオンリーワンの言葉だろうが。」 「かいりょ~かいりょ~。」 「って使ってんじゃねーか。」 くだらない内容だ…と俺自身思ってるけど、正直こんな何でもない時間が心地よかった。 …、
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