遺品の手紙

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大和田誠は、その日彼女の葬式に出席した。 死因は信号無視の車に跳ねられての事故死、ほぼ即死だったらしい………。 遺影の中で笑う彼女は、最後にあった時より少し若い感じがした。 葬式の間、誠はずっと白い花に囲まれて笑う彼女の写真を見ながらそう感じていたのだった。 数時間が立ち、ようやく葬式も終わり誠が帰ろうとすると彼女の母親が誠を呼び止めた。 母親に着いて行くと、母親は誠に大きな水槽を渡してきたのだ。 「あの子が一番可愛がっていたの、少し変わった趣味をしていたけれどもし誠君がよければあの子だと思って育ててくれないかしら?」 そう言って渡された水槽の中にいたのは、一匹のカエルだった。 緑色のアマガエルよりも少し大きいサイズだろうか、ヒクヒクと喉を動かしながらカエルは誠を見つめていた。 「あの子変わった趣味していたから………」 彼女の母親はそう言うと、少しシワが入った目尻に再び涙が溜まっていた。 彼女は爬虫類が好きで動物園に行くと、いつも象やキリンではなく真っ先に爬虫類コーナーに向かっては何時間も眺めるほどの爬虫類好きだった。 中でも特に好きだったのはカエルで、彼女の部屋に行くたびに沢山の水槽に入ったカエルが出迎えてくれたのを覚えている。 特にこの緑色のカエルについては、彼女が特に可愛がっていたものでいつも話題に上がるほどだった。 家に帰って水槽を棚に置くとカエルはしばらく固まっていたが、やがてピョンピョンと跳ね出し、その様子を見て誠はホッと息を吐くと、すぐにスマホを取り出して電話をかけ始めた。 「あ、優子?んー今帰ってきたとこだからさ、俺の家来る? 大丈夫大丈夫!俺もうフリーだから、じゃあ愛してるよ」 誠はそう言ってスマホを切ると、意気揚々と鼻歌を歌いながら喪服を脱ぎ始めて着替えながら部屋を片付けたのだった。
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