ダイエットの手紙

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「うっそ………」 その日、有本美由紀は体重計を見て驚愕した。 高校1年生の美由紀には、最近片想いをしている相手がいる。 その相手は2年でサッカー部エースの真城佑樹、実力もさる事ながらその甘いルックスで多くの女子生徒のハートを射止めているのだ。 美由紀もハートを射止められた一人で、放課後になるといつもサッカー部の練習を覗いては友人と一緒にキャーキャー騒いでいる。 少しでも憧れの先輩に近づきたくて、美由紀は化粧や服装などや髪に常に気を使っていたが、一つだけどうしても厄介な壁が残っていた。 それは………。 「体重………増えてる………」 しゃがんでも立ち上がっても変わらない数値を示す体重計………。 美由紀の最大の壁、それは自分の体重だ。 全体的にふくよかな身体が多い自分の家系………。 美由紀も例を問わず両親にふくよかで、美由紀も両親と同じとまではいかないが少しだけ肉付きがいいのだ。 家系に加えて高校生という成長期もあってか、美由紀はよく食べる。 沢山食べる子供は親からすれば微笑ましいが、美由紀はそんな自分がとても嫌だった。 友人達と同じ量を食べても、自分にだけ肉がついて他の友人は全く肉がついていない。 それどころか同じ量を食べても全く体型が変わらないどころか、痩せていたりしているのだ。 美由紀だって、勿論過去に何度も色んなダイエット方法を試した。 しかし、どれも成果があまり見られず同じようなダイエットを試した友人はどんどん体重は減っていったのに、美由紀の脂肪だけは頑固なまでに美由紀の身体から離れなかった。 「あーあ、どうやったら体重減るんだろう………」 先輩の周りにいる子は美人でスリムな子ばかり………。 そんななかに自分なんかが突入したら絶対に浮くし笑われてしまう………。 どうしたら体重が減るんだろう………。 ベットに寝転がりながら美由紀が溜息を吐くと、インターホンの音が聞こえた。
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