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確か母さんは今、晩ご飯の買い物に出かけていない………。
美由紀はめんどくさいなと思いながらも、身体を起こして玄関へと向かった。
玄関の扉を開けると、そこに立っていたのは少し古めかしいデザインの制服をまとった一人の青年だった。
帽子を被っているがその顔立ちは整っていて、美由紀は思わず自分の頬に熱が集まるのが分かった。
(こんなイケメンの人見るの先輩以外に初めて!)
美由紀が青年に見惚れていると、青年は美由紀に微笑んで肩にかけてあった大きな黒い袋から一枚の黒い封筒を取り出した。
「有本美由紀さまですね?手紙のお届けに参りました」
「へ?私?」
美由紀は青年から差し出された手紙を受け取ると、封筒は真っ黒で差出人はおろか美由紀の名前すら書かれていなかった。
「あの、一体誰が………あれ?」
美由紀が顔をあげると、いつのまにか青年は消えており玄関には黒い封筒を持った美由紀だけが残されたのだった。
とりあえず玄関を閉めてから、美由紀は自室に戻って黒い封筒の封を切った。
中には一枚の手紙が入っており、そこに書かれていたのは………。
「うええ、何これ………」
そこに書かれていたのは、数々のダイエット方法だった。
しかし普通のダイエット方法ではない………寄生虫をお腹に入れたり怪しげなサプリで激やせして最後は骨になったりと、どれも怪談や都市伝説でよく聞くダイエット方法ばかりで美由紀は思わず顔を顰めた。
確かにダイエットをしたいとは思っていたが、何もこんなグロテスクな方法で痩せたくはないと溜息を吐くと、ふとある一文が目に止まった。
それは、自分の肉を食べるというダイエット方法だった。
自分の肉ということで、美由紀は最初ゾッとしたがよくよく考えたら自分の肉なんだから食べたって自分の身体にもどるだけだから太らないし、むしろ脂肪が減るかも知れない!
でも、だからといっていきなり自分の身体を切って肉を食べれるかと言われれば、食べれるわけがない。
美由紀は一生懸命考えた。
流石にいきなり自分の肉を切り取るなんて出来ないけれど、お腹がすいたら自分の腕を噛んで誤魔化せばいいんだ!
そしたら少しは空腹が紛れるかもしれない!
美由紀は、よし!と気合を入れると手紙を封筒に閉まって早速ダイエットを開始した。
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