ダイエットの手紙

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まずは晩ご飯、今日の晩ご飯は美由紀の好物のトンカツだ。 皿に乗った大きなトンカツと付け合せのキャベツ、それから炊きたてのホカホカご飯に母親お手製の卵スープと、どれも美由紀の好物ばかりで美由紀は早速箸を伸ばした。 サクサクの衣と溢れる肉汁、それにご飯とキャベツがまたあって卵スープも出汁と卵があって絶品だ!と美由紀は無我夢中で箸を進めたが、ハッとダイエットの事を思い出して慌てて箸を置いた。 皿の上には、まだトンカツが半分も残っているが美由紀はまだ食べたい気持ちをグッと我慢して席を立った。 「美由紀どうしたの?お腹痛いの?」 「食べないなら父さんが全部食べちゃうぞ」 心配そうな顔をする両親に、美由紀は少し疲れただけだからと嘘をついてから急いで自分の部屋に戻ると、思い切り自分の腕を噛んだ。 じんわりと広がる痛み、お腹はまだ食べ足りない!と音を立てて鳴っているがそれを誤魔化す為に美由紀は強く腕を噛むと、ほんのり塩味を感じてちょっとだけだが空腹が紛れてお腹の音も鳴りやんだ。 (これならいけるかも………!) ちょっと痛いけれど、これなら空腹を誤魔化せるし痩せれるかも! 先輩の隣に立つスリムな自分を想像して、美由紀は自分を奮い立たせたのだった。 美由紀のダイエットは順調に進んだ。 最初こそ辛かったがご飯の量を以前よりかなり減らして、大好きなお菓子もジュースも全て我慢してお腹が鳴れば腕を噛んで我慢する。 気づけば強く噛んだせいか、両方の腕は噛み跡だらけで所々血がにじんでいる場所もある。 今までの苦労したダイエットが嘘みたいに面白いくらい体重が減っていって、周りからも最近痩せた綺麗になったと褒められる事が多くなった。 美由紀はこの噛み跡は勲章ねと長袖で隠しながらダイエット生活にますますのめり込むのだった。 しかし、美由紀はまだ気づいていなかった。 ダイエット最大の難関を………。
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