ダイエットの手紙

5/7
前へ
/125ページ
次へ
美由紀がいつものように体重計に乗ると、その数値に目を疑った。 まさかと思い何度も見返したが、何度見ても数値は変わらず美由紀は呆然とした。 「体重が減ってない………!?」 ダイエット最大の難関………それは停滞期。 人の身体が減っていく体重に本能的に命を守らねばと、本能的に体重減少に歯止めをかけてしまうのだ。 人体の本能的な現象だから、普通にダイエットを続けていればいずれはまた体重が減っていくのだが高校生の美由紀は、同級生が停滞期がーという話を耳にすることはあれど、そこまで停滞期の事を詳しく調べなかった美由紀は初めての現象に戸惑いを隠せなかった。 「どうして!?ちゃんと、ご飯も減らしてるのに………」 もう少し御飯を減らしたほうがいいのかな? 美由紀はそう思いながら、ご飯の量を減らしてベットに入りましたが、停滞期というのは厄介な物で、その日から美由紀の体重は一向に減らなくなった。 それどころか少し体重が増えたりもしてきたのだ。 減らない体重、鳴り止まない腹、美由紀のダイエットはますます過激さをますばかりだった。 食事を取るのを一切止め、ひたすら空腹に耐えて腕を噛み続ける………。 両親や友人達は、痩せているから大丈夫だと止めようとしたが、その言葉は美由紀には届かなかった。 噛み続けた腕は、いつのまにか皮膚がなくなり肉がむき出しになっているが、美由紀はそれでも食べ物を口にはせず自分の腕を噛み続けた。 全ては大好きな先輩に近づく為………。 血が流れ続ける腕を噛みながらも、美由紀の頭は食べ物の事でいっぱいだった。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

586人が本棚に入れています
本棚に追加