井戸の手紙

2/7
前へ
/125ページ
次へ
その日、竹内明美は旦那を殺した。 原因は彼女の浮気である。 元々彼女は結婚する前から浮気性であった。 学生の頃から彼氏の取っ替え引っ替えは当たり前、調子に乗っていた時は同級生の彼氏に手を出したりして大揉めしたことが何度もあった。 けれど、彼女は浮気を悪いことだとは思っていなかった。 ただの火遊び、そう軽く考えていた。 そんな明美だが結婚をした。 お見合い結婚だが、とても条件の良い旦那を捕まえたと思った。 高身長、高成績、高収入………顔もよくて明美は付き合っていた彼氏を全て切って今の旦那と結婚した。 最初の内は旦那にベッタリだった明美だが悪い虫はそう簡単には治らない………。 彼女は再び浮気を繰り返し始めたのだ。 最初のうちは、旦那に隠れてコソコソとしていたが、大企業に勤めていて帰りが遅くなる事が多いと分かっては、逆に堂々と家に男を呼んだりした。 結婚は結婚、浮気は浮気………。 明美の中では結婚と浮気は別物で決して悪いことではないと位置づけられていたのだ。 しかし、それは明美の中での話であって世間一般の話ではない。 ある日のこと、男と遊んで家に帰ると旦那が帰ってきていたのだ。 目の前には大量の明美が男と一緒にいる写真と、男に使った旦那の貯金の明細、そして離婚届が置かれていたのだ。 旦那は明美に対して、今すぐ離婚届けに名前を書き判子を押せと冷たく言い放った。 明美は拒絶した。 何せこれだけ条件の良い旦那はそうそういない。 服も靴も全部全部旦那の金があるからこそ、一流の物を買えるだけで浮気相手の貢物だけでは到底無理なのだ。 すがりつく明美、しかし旦那は話は弁護士を通せと言って部屋を出ていこうとした。 このままでは全てが終わってしまう………! カッとなった明美は、飾ってあったクリスタルの花瓶を旦那の頭めがけて振り下ろしたのだった。 強い力で殴った為もあってか、明美の旦那は血を流してそのまま絶命してしまったのだ………。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

586人が本棚に入れています
本棚に追加