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「ペットって飼い主の一番の理解者だって話知ってる?」
「あ?なんだそれ?」
カエルを見つめながら甘い声を出して擦り寄る優子を撫でながら、誠も同じように横を向いているカエルを見つめた。
「ほら、ペットに話かける人っているじゃん?そういったペットってしっかり飼い主が言ったことを覚えてるんだってさー
ほらオウムとかが飼い主の愚痴をペラペラ喋ったって話があるじゃん?」
「ばーか、それはオウムだから喋るんだろ」
そう言って誠が笑っていると、インターホンの音が鳴ったので、優子を置いて外に出るとそこには古めかしいデザインの制服を着た一人の青年が立っていた。
「大和田誠様ですね、お手紙のお届けに参りました」
そう言って微笑みながら手紙を差し出す青年に、誠は軽く会釈をしながら手紙を受け取ると、その封筒は真っ黒で差出人どころか誠の名前すら書かれていなかった。
「なあ、これって本当に俺の手紙………いない?」
顔をあげるといつのまにか青年の姿はどこにもなく、優子に呼ばれたのもあってか誠は首をかしげながらも玄関のドアを閉めて部屋へと戻った。
「手紙誰からー?」
「さあな」
適当に封を切って中を覗くと、中には一枚の手紙が入っておりその内容は遺品を受け取った青年がそこに込められていた怨念に巻き込まれるという怪談話だった。
「やだ、超コワイじゃんこれ」
「ったく、こんな気持ち悪いもん送ってくんじゃねーよ………差出人も書いてないくせによ」
「もしかしてこれ………あんたの彼女からの最期の手紙じゃない?だって薄々気づいてたじゃん、私と誠が浮気してるって」
そう言って首に抱きつく優子の言葉に、誠は彼女が死ぬ前のことを思い出した。
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