井戸の手紙

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何度もアプローチを繰り返すが決してなびかない婚約者………。 それどころか、そのアプローチが同級生にバレて口論になってしまった。 自分よりも劣っている相手になびいて、何故自分になびかない! カッとなった明美は思わず同級生の首を掴み力を込めた。 同級生は必死に抵抗したが、やがてパタリと動かなくなってしまった。 明美が慌てて手を離した時には、同級生は物言わぬ死体になってしまった。 明美は慌てて同級生を車に乗せると、慌てて夫の遺体を落とした古井戸へと向かい、そこに同級生の遺体を落としたのだ。 その後、同級生は行方不明として扱われ同級生が行方不明となり嘆き悲しむ婚約者………。 その悲しみに明美は寄り添う振りをして付け込み、見事同級生の婚約者を手に入れたのだ。 それからも、明美は気に食わない人物がいれば殺し何度も井戸に突き落とす行為を繰り返した。 水しぶきを立てて沈んでいく遺体を見ながら、明美はこれで自分の邪魔がまた一人減ったと恍惚の笑みを浮かべるのだった。 ある日、夫が行方不明のなか浮気を繰り返してる事が両親にバレた明美は、手馴れた様子で両親を殺して早速井戸に捨てようと思ったとき、ふと机の上に置いてあった手紙が目に入り思わず手にとった。 この手紙に書かれていた怪談には、遺体は親が片付けていると書かれてあった。 そういえば自分が捨てている古井戸の遺体は、一体どこへ消えているのだろうと疑問に思ったのだ。 暗くてよく見えないというのもあるが、いつも死体を捨てにいけば遺体はいつも消えているのだ。 まさか誰かが回収しているとか………!? 思わずよぎった考えに明美は思わずゾッとしたが、すぐにそれはないなと心で否定して、いつものように遺体を車へと乗せると古井戸がある山へと車を走らせたのだった。
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