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トントン
「ごはん、食べないなら片づけるよ?」
『なんだろうね。
いつもはごはんの時はちゃんと来るのにね。
ご飯の時だけは……』
思い返す俺をご飯の支度ができた母さん呼びに来た。
そして余計な事言いやがる。
あれ?
これってもしかして……。
***
「今日、アンタまた暴れたんだって?」
ご飯を食べながら母さんは話を切り出した。
情報いくの早いなぁ……。
「あれは仕方なかったの」
渋々俺は答える。
「元気なのはいいけどね。
無茶しないでよ?」
『父さんに似てこの子は正義感が強いからね。
きっとやたらに人を傷つけないよ。
ホント、この子は父さんそっくりだね。
最近とくにそう思うよ』
母さん……。
俺の父さんは俺が小さい頃、交通事故に巻き込まれて他界した。
だから俺は父さんとの思い出が殆どない。
微かに覚えてるのはキャッチボールをしていたことくらい。
あれから母さんは女手一つで俺を育ててくれてたんだ。
俺が好き勝手にやってても頭ごなしに怒ったりしないで俺を信じてくれている。
俺が心の中で助けを求めてるときもそっと助けてくれる最高の母さん。
人は俺の事をマザコンというかもしれない。
それでもいい。
俺の大好きで大切な母さんなのだから。
「ありがとう、母さん。
母さんってホンキで父さんが好きだったんだな」
俺に心配かけまいと母さんは普段俺の前では父さんの話をしないのに珍しいな。
「な、何言ってるんだい。
ほら、さっさと食べないと片づけるよ」
『やだ、この子。
なんでわかったのかね……』
顔を真っ赤にして母さんは立ち上がった。
ん?
やっぱりおかしい。
真島の時と同じ反応だ。
心が読めるようになったのか?
そんな漫画みたいな話、あるもんか!
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