透ける心に俺は戸惑う!?

6/23
前へ
/23ページ
次へ
「ったく。 何なんだよ、一体……。 う……」 家から飛び出すと俺は思わずうずくまった。 『今日取引先行きたくないな』 『やべ、レンタル返すの忘れてた』 『眠い……』 渦巻く人の感情が俺の頭の中に次々と入ってくる。 「……くそ。 うるさいぜ」 可笑しくなりそうな精神をグッと堪え俺は立ち上がる。 「にゃー……」 「黒猫?」 いつの間にか俺の目の前に黒猫がいた。 綺麗な黒い毛皮に凛とした金色の瞳。 何だか神秘的な猫だ。 『助けてくれてありがとう』 舌を少しだ⇩黒猫の声が聞こえてきた。 「お前この間の猫か?」 数日前俺は黒猫を助けた。 まさかと思うが……。 この猫か? 『「お前」ではない。 ネネにはネネという名前がある』 ムッとして黒猫は自己紹介をする。 「ネネ。 俺は今、ネネと喋っているのか?」 非現実的すぎる。 人の心がわかるようになった上に、猫とまでお話ができるようになるとは……。 『そうだよ。 ネネと喋ってるの。 そしてみんなの心の声が聞こえるようになったの』 ネネは俺の期待通りの答えを返してきた。 「君の仕業か?」 ネネをジッと見る。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加