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ポクポクポクポクと木魚の音がする。
悲しげな線香の匂いが鼻につくここは、俺んちの大広間だ。
誰かのすすり泣きが聞こえる。
全くアカデミー賞並の演技だ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・
私がちゃんとあなたと話し合っていたら、昌樹は死ななかったかも知れないのに・・・
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
ああ、うるさい。
俺はずっと言ってきた。
いじめられてるって。
学校行きたくないって。
それでも行けって言ったのはあんたら親でしょ?
今更なんだよ。
もう、遅いんだよ。
本当に。
「昌樹、ごめんねごめんねごめんねごめんね・・・」
「もう堪能しましたか?次張り切って行ってみよー!行きますよっ!はいっ!」
ああ、ここは俺が一番嫌いな場所だ。つまり、学校。
そして、教室。
その隅に喪服を窮屈そうに着た男がウォンウォン泣いていた。
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