恋愛書架

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どうして、女子高に勤めることにしたのだろう。 七時半、朝読書の本を忘れてしまった生徒に、図書室を解放するため、司書の水嶋礼奈は、思い悩んでいた。 ここが共学の学校であれば、動機が不純であっても、男子生徒が一生懸命本を読んだかもしれないと思わせるに十分な容姿を持っている女性である。 憂える瞳はまるで潤んでいるよう。悲しみと憂いが同居したような瞳は少し垂れているせいか、角度によっては流し目のようにも見える。 その瞳の間からからすーっとキレイに引いたように流れる鼻筋は、低めではあるものの、形が異様に美しく。 その下で引き結ばれた口は、やや大きめであるものの、うっすらとした唇からか、目立つことはなく、逆にすっきりとした印象を与えていた。 その顔の造形は不思議とバランスが取れていて美しい。瞳のせいか、艶めかしくも見える。 そんな水嶋は、女子高の生徒にも人気があり、憧れの先生という目で見ている生徒も多い。 そのために、彼女を訪ねてくる女生徒が多いという事実もあって、それは大変喜ばしいことなのだけど。 水嶋を悩ませている原因はそこにあった。
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