恋愛書架

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七時四十五分。 いつもの時間、図書室を開放する。 キレイに整頓された本棚。 朝開放する前に、本の乱れはないか、場所が間違っていないか。 きちんとチェックされている。 朝来る生徒は慌ててくる子が多いので、いつも以上に本を見つけやすくしておきたいという配慮。 朝くる可能性がある生徒の図書カードをカウンターの作業がしやすい場所に並べている。 朝本を忘れてくる子は大体決まっているし。 朝までに家で本を読んでくる子だって、いつもの常連だ。 それをきちんと覚えていることも、人気のある理由なのかもしれない。 頑張りすぎて疲れることはあるけれど。 仕事自体が苦なわけではない。 そう、苦は別の場所からやってくるのだ。 「せーんせ」 朝一番に図書室に入ってくる生徒は決まってる。 他の生徒より少し高くて明るい声。 図書室とは縁がなさそうな、快活で運動神経がよさそうな生徒。 ショートカットの髪はとても柔らかそうで、ふわふわと揺れる。 つい触ってしまいたくなるけれど、その気持ちを理性でむりやり押さえつけた。
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