風邪の日のできごと

1/2
前へ
/2ページ
次へ

風邪の日のできごと

 風邪を引いた。  異種に行ったらインフルエンザと診断され、すぐに戻ってベッドに倒れた。  薬は飲んだが体が熱い。横たわっていても頭がくらくらする。  そんな状態で、うつらうつらと意識を飛ばしたり戻したりしていた俺の耳に、ふいにノック音が聞こえた。  コンコンコン。  誰かがドアを叩いている。  誰だろう? とりあえず返事をと…そこでぼやけた意識に待ったがかかった。  俺は一人暮らしじゃないか。しかもノックされたドアは二つある部屋の寝室にしている方のドアだ。外扉じゃない。  合い鍵なんて物はないから、勝手に誰かが入り込める筈もない家の中、俺以外の誰かなんていやしないのに、何故か聞こえるノックオン。  熱が高くなって幻聴でも聞こえてているのだろうか。それとも朦朧としているせいで、外からの音を錯覚しているだけか?  どちらにしろ、弱り、嗄れた喉から返事は出ない。たたベッドに突っ伏して音を聞いているだけだ。  そうしたら、今度はぼそぼそと会話らしきものが聞こえた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加