『異常な鳥籠』

2/2
前へ
/2ページ
次へ
ふと空を見上げてみる。 澄みわたるような青い空…。 うっすらと雲を散りばめた青空に 小さな鳥が気持ち良さそうに 飛んでいる。 あの鳥はなんという鳥なんだろう…。 おそらくは飼われていた小鳥では ないだろうか。 野生の小鳥にしては綺麗すぎる。 あの小鳥は誰かに飼われていて、 鳥小屋から飛び出して逃げてきたのかな…。 公園のベンチに腰をかけ、空を仰いでいた 私はふっと思った。 『あの小鳥がうらやましい…。』 そんな物思いにふけっていると ブランコの方から私を呼ぶ声が 聞こえてきた。 「ママー!!見てみて?! こんなに高くなったよー!! ママもこっちにおいでよー!!」 そういいながら、笑顔でこちらに 向かって手を降りながらブランコに 揺れている娘。 小さな2つ並びのブランコに、 一年生になった娘と一歳半になった 娘が、楽しそうに笑いながら揺れている。 大切な私の娘達。 この子達は…何も知らない。 「今いくよー!!」 ブランコから少し離れたベンチに 腰かけていた私は、 優しい笑みを浮かべ、大きく手をふり、 娘達の待つブランコの方へあるきだした。 『のんちゃん…。』 歩きだした私の背中越しに、 懐かしい声が聞こえた気がした。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加