第1章

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ざっと依頼書を見ると、ペットの散歩、家の修理、薬草や鉱石の採取、王都のパトロール、貴族の警護、犯罪者の捕獲等、多岐に亘っている。 他国であれば、ここに『魔獣の討伐』が加わるのだろうが、セラフィールド王国は『銀の守姫』が創る『壁』と呼ばれるシールドで護られているから、そんな依頼書が掲示されることはない。 一般に国民が魔獣を見るのは学園や魔獣園(生きた魔獣を研究・飼育し、公開する施設)で、「人間を襲う恐ろしい生き物」という知識はあっても、体感することなどなかった。 「ん~、どれが良いかな?」 「取り敢えず、Cランクの依頼にすれば良いだろ。」 ギルドの依頼はEからSまでランク付してあり、ギルド員自身のランク以上の依頼は受けられないことになっている。 ただし、複数人で1つの依頼を受ける場合は、その中で一番ランクが高い者のランク以下であれば、依頼を受けることが可能だ。 タクトはBランク、ミーアはCランク、ヒメはDランクである。 したがってBランクの依頼を受けることも可能ではあるが、ヒメにとっては初依頼であるから、Cランクが適当だろうというタクトの意見は十分理にかなっていた。
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