第5章

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「でもね、ヒメちゃんの女子ファンとして言わせてもらうと、相手が『あの人』なら申し分ないと思うのよ。」 「確かに! これで、どこの馬の骨ともつかないような男子とお付き合いを始めようものなら・・・」 「抹殺ね。」 「天誅(てんちゅう)ね。」 「―ちょっと待て、君たち。 そもそも、相手が本当に『あの人』か分からないじゃないか。」 「え、例えば、チョビ髭(ひげ)のロランド先生とか?」 「・・・許せん。」 「天誅決定ね。」 「オネエのアリー先生とか?」 「・・・いや、いやいやいや。」 「ないわぁ。」 「だーかーら、相手を確認しようって言ってるんだよ!」 「―ですってよ、ブ長。」 「だってよ、ブ長。」 ファンクラブ長、略して『ブ長』である。 話を振られたブ長は滝のように冷や汗を流している。 「・・・いや、あのさ、ほんっっっと『あの人』はタブーなんだって!鬼門なんだって!!」 「なんなの毎回。ブ長は『あの人』に何の弱味を握られてるの。」 「名前を出しちゃダメとか言うから、『あの人』呼ばわりだしさ~。」 「だって出てきそうじゃん! 急にドアが開いて、 『俺の話をしていたようだが。』 とかさぁ、ありそうじゃん!」 ブンブン両手を回して主張するブ長。 「何のホラーだよ。」
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