第5章

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「何でって・・・。」 顔を見合わせるミーアとタクト。 「そりゃあ、ねぇ。」 「だよなぁ?」 「ヒメちゃんがいるからでしょ。」 ミーアの視線の先には、皆と一緒になって巨大な天使を見上げているヒメがいる。 1年2組の生徒にとって、ヒメの役割とその効果は周知の事実であった。 なお、一般的には、王国最強の帝が魔獣を駆逐しているため、国内への侵入がないのだと言われている。 実際、帝は『壁』に近付く魔獣を間引く役割も担っているから、全く的外れという訳でもないのだが。 「・・・あの娘(こ)が?それってどういう・・・。」 「シュン・クサナギ。 そろそろ使い魔を返還しろ。魔武器を作成するぞ。」 シュンの疑問はシリウスによって遮られた。 「は、はい! ・・・それで、どうすれば?」 「『戻れ』とか『帰れ』と命じれば返還される。」 「はい。 ―『戻れ』。」 言った瞬間、サンダルフォンはかき消えた。 「おお~、消えた。」 3mの巨体が一瞬で消えたことに感動の声を漏らす。 その声を拾ったシリウスは、 「まぁ、普通は消えるよな。」 と、規格外の使い魔を頭に浮かべながら呟いた。
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