アルバイト

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夕方になると、明日花の風船配りのバイトは終わりますが、実は明日花には帰る前に必ずしなければならないことがありました。 「はい、腕出してねー」 「はーい」 タイムカードを押してから、明日花はスタッフさんが用意をしてくれたイスに座ると、机に腕を乗せました。 目の前には水族館のスタッフの人が座っていて、スタッフは明日花の腕に消毒液を染みこませた綿を滑らせると、その腕に注射針を指しました。 明日花がしなければならないこと………それは、帰る前の採血です。 一緒に風船配りをしているスタッフの子達も同じで、皆それぞれ空いてる机の前に腕を出してスタッフの人に採血をされています。 採血は週に1回ですぐに済むので、明日花は変なのと思いながらも給料がいいので特に文句を言わず黙って採血を受けていました。 「よーし、終わった!明日花ちゃんお疲れ様ー」 「お疲れ様でしたー!」 スタッフの人に挨拶をしてから、着替えを済ませた明日花が水族館の外に出ると、後ろから肩を叩かれました。 「お疲れ明日花ちゃん!一緒に帰ろう」 「あ、郁実さん!お疲れ様です」 明日花の肩を叩いたのは、立花郁実。 明日花より5つ年上の大学生で、バイト仲間で一番頼れる人でもあり私服がオシャレで、明日花の憧れの人でもあります。 「今日もバイト疲れたねー」 「そうですねー」 他愛もない話をしながら二人で帰るなかで、ふと明日花はある疑問を思い出して郁実に聞いてみることにしました。 「あの、郁実さん………どうしてバイトが終わった後に採血なんてするんですか?」 水族館という特殊な場所でのバイトということもありますが、風船配りをしただけで採血をするなんて聞いたことがありません。 明日花の質問に、郁実はうーん………と唇に指を当てると、実はね、と少し声のトーンを落として話し始めました。
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