アルバイト

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「あの水族館に人魚いるでしょ?実は、あの人魚は本物で人の血を餌にしてるんだって!」 「えーまっさかー!」 「それともう一つ噂があってね、実は人工的に人魚を作り出そうとしていて、魚と適合出来る人を血液とかで実験して探してるんだってさ」 「実験………」 明日花は人魚の姿を思い出しました。 美しい人魚、神秘的な姿をしていて、それこそ人と魚の境目の部分なんてまるで最初からそこにあったかのように違和感がないのです。 もしかしたら本物の人魚なのかなと、明日花がうんうん考えていると隣で明日花を見ていた郁実がプッと吹き出しました。 「やーだ、明日花ちゃんもしかして信じてる?」 「もー郁実さん騙したんですね!」 「ごめんごめん」 ケラケラと笑う郁実に釣られて明日花も笑い、再び他愛もない話に戻ると明日花はすっかり人魚の事など頭のなかから忘れてしまったのでした。 翌週、明日花がバイトに行くと、一緒にバイトに入っているはずの郁実の姿がありませんでした。 おかしいな、遅刻かな?と郁実の心配をしながらも明日花が風船を配っていると、ある団体が目に入って明日花は慌てて顔を隠しました。 「おー、これが噂の人魚」 「すっごい綺麗!」 「うわー本物かよ!」 何と、明日花のクラスメイト達が水族館に来ていたのです。 そういえば週末にクラスの皆で遊びに行こうと誘われていたなと、明日花が思い出していると、人魚の水槽を見つめていたゆきちゃんが、口を開きました。
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