焼却炉

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「藤沢瑞穂!また校則を破ったな!?何だその制服は!!!」 朝の正門前に響く生徒指導の教師の怒鳴り声。 登校している生徒達が遠巻きにその様子を見る中で、ただ一人その怒鳴り声の中心にいる3年A組の藤沢瑞穂は、心の中で自分を怒鳴りつける生徒指導の教師に舌打ちをしました。 瑞穂は、よく制服を改造しては学校にそのまま登校します。 短いスカートに規定以外のリボン、首や腕などにはアクセサリーが着けられ化粧もバッチリしています。 勿論瑞穂の通う中学校には、ちゃんと校則というものがあり制服のスカートの長さも規定がありますしアクセサリーや化粧は禁止です。 しかし、瑞穂はその校則を一度も守ったことがありませんでした。 そのまま着るのがダサいからという理由が一番ですが、教師に何か言われても絶対に規定通りに着るものかという反抗心があったのです。 その為、いつも色々と指導してくる生徒指導の教師は、瑞穂にとっては犬猿の仲でした。 正門前で散々と怒鳴られた瑞穂は、始業のチャイムが鳴る前にようやく大量の反省文用の紙と共に教室へと返されたのでした。 「毎日毎日ムカつくんだけど!」 教室に着いた瑞穂は荒々しくカバンを机に置くと、ドン!とイスに腰掛けました。 そんな瑞穂の姿を見て、友人達はクスクスと笑っていました。 「瑞穂、ほーんとあの先生に目つけられるよね」 「アイツ頭が硬すぎなのよ!」 「瑞穂が校則破りすぎなんだよー」 ケラケラと笑う友人達に瑞穂がムッと顔を歪めると、一人の友人がそうだった!と手を叩いて瑞穂に話しかけた。
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