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「ねえ、彩乃お願い!藤森さんに連絡とってみてくれない!?私、このまま死にたくない!」
「え、いいけど………ゆきちゃん起きてるかな?」
時計を見て、流石にゆきちゃんは起きているか怪しいだろうなと思っていると、電話越しから紗栄子の大きな声が響いた。
「ちょっと!友達見捨てるつもり!?先輩死んだら彩乃のせいだからね!」
「はぁ!?」
理不尽すぎると思いつつも、彩乃はしぶしぶ電話を切ると、電話帳からゆきちゃんの番号を出して、電話をかけました。
数回のコール音の後、ブツリと何かが切れた音と共に、電話越しから少し寝ぼけたゆきちゃんの声が聞こえてきました。
「はい、もしもし………?」
「あ、ゆきちゃん?遅くにごめんね!彩乃なんだけど、ちょっと相談があって………」
「彩乃ちゃん?」
彩乃は早速、先ほど紗栄子から聞いたことをゆきちゃんに伝えました。
最初は、半分眠ったような返事をしていたゆきちゃんも、すぐにコワイ話題ということに気づいたのか、電話越しにノートを捲る音が聞こえたりしました。
彩乃が全てを話し終えると、何故か電話越しからは、ゆきちゃんの溜息が聞こえてきたのでした。
「あーあ、本当厄介なことしてくれたね………」
「ゆきちゃん………?」
「紗栄子ちゃんが倒したお地蔵様っていうのは、心霊スポットにあったんでしょ?
そういったところにあるお地蔵様はね、その土地で亡くなった人や幽霊を慰める為に建てられた物なんだけど、人や幽霊を慰めた分お地蔵様には負の感情が沢山詰まってしまっていてね、もし壊されたりでもしたら一気にその負の感情が爆発してしまうの」
「負の感情………」
「負の感情っていうのは、時として呪いとなるからね………
そうなると、流石に手におえなくなっちゃうかも」
呪い………。
その言葉に彩乃の背筋が冷たくなると、通話をしていたはずのスマホの画面に、紗栄子からの着信を知らせるアイコンが表示された。
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