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「やあ、遅かったね」
「あ、あの先輩………今ここに誰かいませんでしたか?」
「いや、僕一人しかいなかったよ?あ、もしかしてテレビ見てたからその声かな」
「そ、そうですか………」
さあ、お昼を食べようと促されて花恋は、慌ててお弁当を広げて先輩の前に座りました。
さっきの声はテレビの声かとホッとしながらも、どことなく違和感が拭えないままでしたが、初めての彼氏とお昼ということもあって花恋は、すぐに気持ちを切り替えてお昼休みを楽しみました。
花恋と宮城先輩の交際は順調でした。
バスケ部の部長ということもあって、忙しい身の先輩でしたが、一緒に帰れる日は必ず花恋を家まで送ってくれて、学校でも目が合うと手を振ってくれたり微笑んでくれたりします。
何よりも一番の楽しみは、昼休みに理科室で一緒にお弁当を食べることでした。
相変わらず、来ると先輩と女子の声が聞こえますが、今では全く気にしていません。
初めての彼氏、しかも憧れの先輩で、花恋は友達にもしかしたら将来結婚するかもよーと冷やかされながらもとても幸せでした。
そんなある日、休み時間に移動教室の宮城先輩を覗きに行こうと、花恋が教室を出ると、廊下では他のクラスの女子生徒が集まって噂話をしていました。
「ねえねえ、知ってる?理科室にさ骨格標本があるでしょ?あれって、実は本物の人の骨なんだって!」
「マジで!?」
「マジマジ!2年に藤森ゆき先輩って、コワイ話沢山知ってる先輩がいるでしょ?あの人から聞いたんだけど、うちらが入学する前に女子生徒が事故にあって、その子の骨を骨格標本として飾ってるんだってさ」
理科室………。
私と先輩がいつもお昼を一緒に食べているところだと、花恋は若干の気持ち悪さを感じながらも、先輩の下に行こうと歩みを進めた時でした。
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