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「三島君………」
「愛してるよ、チョコありがとう」
何と有紗の彼氏のはずの先輩が女の子にキスをしていたのです。
その手にはチョコレートが握られていて、驚愕して固まる有紗の前で先輩は女の子を優しく抱きしめました。
「俺の彼女は君だけだよ」
「嬉しい」
そう言って嬉しそうに笑う可愛らしい女の子、傍から見ればバレンタインの甘い光景だと思われそうですが、有紗は違います。
(嘘………だって先輩は私の事を彼女だって………!)
ドクンドクンと早鐘のように大きく鳴り響く心臓、思い出すのは告白した有紗に好きだよと言ってくれた先輩の顔………。
本当に大好きで大好きで勇気を持って告白した先輩の顔を思い出した有紗は、女の子が去ったことを確認すると、空き教室に入りました。
「先輩」
「おぉ、有紗じゃんどうしたの?」
「先輩にこれを渡しに来ました」
そう言って有紗は、持っていたマフラーを先輩の首に巻いてあげると、先輩は嬉しそうな顔をしてマフラーに顔を埋めました。
「すっげー暖かい!有紗すごいなこんなの初めてもらったよ」
「大好きな先輩の為ですから、だって私は先輩の彼女でしょ?」
「あぁ、俺の彼女はお前だけだよ有紗」
そう言って有紗の大好きな笑顔を見せる先輩に、有紗も嬉しそうに微笑み返しました。
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