ホワイトデー

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「あーあ、どうすっかな」 3月のある日、中学2年生の中野彰俊は悩んでいました。 溜息を吐きながら目の前に置いてある雑誌をパラパラとめくる彰俊、そこにはアクセやバッグに服など、今中学生女子に人気の物ばかりが掲載されていて、それを見て再び彰俊は溜息を吐きました。 彰俊には同じ学年の彼女がいます。 先月バレンタインデーにチョコレート貰ったので、もうすぐホワイトデーというのもあってお返しを考えていたのですが、いざあげるとなると何をあげていいのか分からなくなってきたのです。 「はぁ………」 「彰俊、どうしたんだ?」 「健か、お前はホワイトデーとかどうしてるんだ?って、そもそも大量に貰ってるから返さないか」 「俺はちゃんとホワイトデー返してるよ、って言ってもクッキーとかだけどな!あ、ゆきちゃんにはホラー小説とかあげたりしてるけど……… それにお返しって気持ちの問題だろ?」 気持ちの問題………。 モテる男はやっぱり違うなと思いながらも、彰俊は再び雑誌に目を向けました。 女子の好みは無限大で、同じ形一つにしろちょっとでも色が違うと全然違うと言われてしまいます。 それに、中学生のお小遣いというのは限られているもので、人気ブランドなんて買ってしまったら下手すれば来月のお小遣いまで消えてしまうのです。 「本当、どうすっかなー………」 今日何度目か分からない溜息を吐きながら、彰俊は再び雑誌を捲るのでした。
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