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花恋が向かった先は、理科室。
扉の向こうからは楽しげな宮城先輩と女子生徒の声が聞こえて、花恋はその声に怒りを覚えて勢いよく扉を開けました。
「どうしたんだ花恋、そんなにコワイ顔をして………」
「先輩………今でも元カノにあってるんですね」
その言葉に宮城先輩の動きが止まりました。
やっぱり!と花恋はカッとなると、そのまま骨格標本やホルマリンなどが閉まってある準備室の扉を開けました。
(幽霊のくせに人の恋人を取るなんて!)
許せない!壊してやる!
怒りの感情が渦巻く中で、薄暗い準備室の中を見渡すと黒い布が被せられた大きな木の箱がありました。
骨格標本はここね!
花恋が怒りに任せて、荒々しく布を剥ぎ取ると、そこにはケースに入った骨格標本がありましたが、その姿は異様でした。
「え………?」
半分は確かに骨格標本………でも、もう半分は写真で見た高梨沙羅の顔があったのです。
顔だけではありません、腕や足など身体の半分は骨ではなく人の皮膚が覆ってあり、半分だけ見ればまるで本物の人のようでした。
「あーあ、バレちゃった」
背後からクスクスと笑う先輩の声、恐る恐る振り返ると宮城先輩はゆっくりと花恋の元へと歩いてきます。
「その骨は俺の愛しの沙羅の骨なんだ………
沙羅は骨だけになっても俺の愛しの恋人だけれど、やっぱり沙羅もずっと骨じゃ可愛そうでね………
俺に告白してくれる子を使って、沙羅をもう一度綺麗に蘇らせようとしてるんだ」
「え………」
じゃあ、私が告白した時にOKしたのは………!?
ガタガタと震える花恋を見ながら、宮城先輩は近くにあった大型のナイフを掴むとチキチキと音を立てながらナイフの刃を出しました。
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