第1章

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夜景が良く見える店の前の階段に腰を下ろし、口をもぐもぐさせている娘に声をかけた。 「美味しかったかい?」 娘は指を舐めながら振り向き、返事を返して来る。 「美味しかったよ、お父さん」 「良かった――、で、代わりになりそうかな?」 私の問いかけに娘は躊躇することなく、否定の返事を返して来た。 「色や風味をチョコレートに似せたからっていっても、餡は餡じゃない、代わりにはならないわ」 「そうか。 (裏全国餡製造組合の悲願、チョコレートに取って代わるという思いの達成には、まだまだ時間がかかりそうだ)」
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