1.夢でありますように。

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  柔らかい枕の感触。 どこからか香る、ジャスミンの香り。 すごく心地よくてずっと眠ってしまいたくなる。 でも、包み込むような秋の陽射しはゆっくりと私を呼び起こす。 「ん……」 目を覚ましても、カーテンの隙間から入る陽射しのせいでうまく目が開けられない。 この感じは久しぶりだな。 近くに高層マンションが建ったせいで、うちはすこぶる日当たりが悪くなったから。 きっと今日は特別天気の良い日なんだろう。 そう考えた私は、陽射しから顔を背けるためにゆっくりと身体の向きを変える。 うん、これでもうすこし眠れるな。 ……そう思ったのもつかの間、今度は日光とは違う何かを身体に感じる。  
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