1258人が本棚に入れています
本棚に追加
私の額にすこしだけかかる、柔らかな風。
風、という表現は少し違うかもしれない。
風よりももっともっと弱くて、そう、例えるならば。
――――すやすやと眠っているヒトの、寝息のような。
“寝息”
頭の中にその言葉が浮かんできたと同時に、一瞬にして“昨日”の記憶が蘇ってくる。
寝息のような、ではない。
きっと今私の額にかかっているこれは、紛れもない人の呼吸で。
その呼吸の主はきっと、
今までずっと弟のように接していた……六歳も年下の、男の子だ。
最初のコメントを投稿しよう!