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目の前にまこの笑顔があるって考えただけで、頭に血がのぼりそうだ。
こんな感覚に陥ったのは、生まれて初めてかもしれない。
「心の準備ができていないので、後日改めようかと……」
「頑張った幼馴染みに労いの言葉をかけるのに、どうして心の準備がいるのよ。もう、じれったいわね!」
「えっ、ちょっと、社長?」
社長はまだ座っていた私の腕を強引に引っ張ると、そのまま関係者用の観覧席から出てしまった。
オネエといっても男である社長の腕力には敵うわけなく、されるがままに狭い通路を通り、ある部屋の前までつれていかれた。
扉の前には張り紙が貼られていて、”eclair様 控え室”と書かれている。
この扉を開ければ、その先にはまこがいる。そう考えただけで心臓の音がうるさくて、平常心を保てなくなる。
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