29.今宵はあなたと。

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  「よし、変装したからもう大丈夫だね」 まこは私の手をとると、指を絡めるように繋いできた。 いつもよりも密接に触れ合い、まこの温もりを感じ取れる。 手のひらを通して、この胸の高鳴りが伝わってしまうかもしれない。 そう思うとますます胸が苦しくなって、たまらず目を伏せた。 「彩ちゃんの手、冷えちゃってるね。早く移動しよっか」 「……うん」 私たちは海沿いのホテルを目指して移動を開始した。 しばらく歩いているとコンビニが見えてきて、まこが「そういえば、化粧落としとか買っていくよね?」と問いかけてきた。 どこかで聞いたその言葉に懐かしさを覚えると同時に、泊まるということを再認識して体が勝手に熱くなる。  
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