29.今宵はあなたと。

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  「俺、今日彩ちゃんを帰す気ないから。何もしないって約束もできない」 「でも、前に“了承を得るまでは何もしない”って言ってたよ?」 「その約束は両想いになる前の話だよ。それに、この二か月間ずっと我慢してきたんだから……ご褒美くらい、くれてもいいよね?」 いつもより少し低い声で囁かれ、まるでのぼせたときのように体がふわついた。 まこは私からゆっくりと体を離すと、再び手を取ってコンビニへと向かう。 「ということで、コンビニに行こうね、彩姉」 「分かった……」 どうしてこのタイミングでそう呼んだのかは分からない。 ただ、好きな人という以前に、まこは弟のような存在だということを思い出したような気がした。  
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