29.今宵はあなたと。

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  「私は、平気で人の心を傷つけるような人間が悪いと思う。それにまこは、みんなの前で私をかばってくれたじゃない。十分すぎるほど助けてもらったよ?」 「あれは、みんなの協力があったからで……。しばらくは落ち着くとだろうけど、またこういうことが起こるかもしれない。そうなる前に、仕事を変えたほうがいいのかなって、ずっと悩んでる」 彼の頬に添えてある私の手に、一回り大きな手が重ねられた。 私はこの温もりをずっと感じていたい。この人のそばにいたい。 でも、それ以上に願うのは、たった一つのこと。 「どんな形でもいいから……まこにはずっとダンスの世界にいてもらいたい。それだけは覚えていて?」  
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