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「うっす、先崎ーこれ渡しといてくんね?」
「森谷お前、またこんな時間に来て…三十分後に出直して来い」
「これから休憩して、その後外出なんだよー」
「毎回毎回、これ見て青筋立ててる坂下さんの形相を見続ける俺の身になれよ…」
「怒ってても、さぞ美しいだろうなぁ」
「坂下さん見てるとお前とだけは組みたくないと常々思うぞ」
知っててやってるだろと睨む先崎に森谷はにやついて躱す。まったく、とため息をつきながら先崎はカラーボックスの提出物置き場を指さした。
先崎の隣席の坂下は少々神経質で怒りっぽいが湯が沸くような怒り方をするのは森谷相手だけだと先崎は思っている。間に立たされてしまう先崎を見る目も最近厳しく年齢が一回り以上違うというのに背筋がぞくっとするときがある。
「坂下女史の眉間の皺が取れなくなったらお前のせいだな」
「じゃあ、次はスイーツでも持参しておくか…?」
「坂下さんのいる時間に、だぞ?」
「へいへい。…じゃ、今日はこれで縁起のいいものも見れたし頑張ってくるわぁ」
「なんだそりゃ?」
「それだよ、その弁当」
は?と聞き返す先崎には答えずに森谷は戻っていった。
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