あふれるなみだ。

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~男~ 彼女が消えてからもう7年。 彼女は、亡くなったことになった。 それからすぐに、俺は引っ越しをした。 彼女が消えてから3年後から付き合い始めた美琴と同棲を始めるためだった。 美琴には、前の彼女のことも話してある。 かなり参っていた時に話を聞いてくれた美琴。 そう、俺はあのうさぎのクッションを抱いて、寺に行ったんだ。 毎日濡れているうさぎ。 俺は、寝ているときもずっと泣いていたんだろう。 美琴は、住職の娘さんだった。 近隣ではかなり大きな寺だから、彼女と初詣や厄払いなんかでなんども行っていた思い出の場所でもある。 うさぎを寺で供養をしてもらった時に、美琴と出会った。 その信頼は厚く、暖かな言葉に癒され、いつの間にか惚れていた。
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