サヨナラ

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詳しいマテ茶の淹れ方とかよく分からないから、うちにある思い切り和風な急須に茶葉を入れてみた。 「日本とブラジルのハーモニーや~」 愉快なグルメリポーター風なことを呟きながら沸騰したお湯を注ぐ。 「なんか楽しそうだね」 私の呟きが聞こえたのか、智志さんが小さく笑っていた。 「だって、ブラジル土産とか初めてだし」 そう言い訳しながら、これまた和風の湯飲み2つにお茶を注いで智志さんのいるテーブルへと向かった。 「こっちのチョコも美味しそう」 智志さんに淹れたてのマテ茶を差し出し、お土産で頂いたカラフルなチョコレートボンボンも箱から出して皿に移す。 キャンディー状に包まれた可愛らしいチョコを一つ頂いてみることにした。 「美味しい!  なんだかもっと外国のお菓子ってくどいかと思ってたけど、これ食べやすい。  ん~、お茶も美味しい」 甘いものを食べた幸福感が体中に染み入る。 マテ茶も初めて飲んだけど、癖もなく私の好きな味だ。 かつ丼を食べていた智志さんが、そんな私を見てホッと表情を緩めた。 「智志さんも、どうぞ」 一応、智志さんにもチョコを勧め、私は2個目のチョコに手を伸ばした。 あ、さっきのと味が違う。 でも、何味かまでは分からない、残念な私………。 3個目へと手を伸ばしたところで、それまで私を面白そうに眺めていた智志さんがジーッと私を見て言った。 「聞いてもいい………?」 「ん?何?」 金色のチョコの包みを開きながら、少し姿勢を正した智志さんに首を傾げる。 「俺との結婚、断った理由」 え………?
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