3461人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「今はどうしようもないけど、なんとかするから。
だから………」
苦し気な玲央さんの声に胸が痛くなる。
きっと私が玲央さんを苦しめている存在なんだろう。
このまま玲央さんとさやかさんが籍を入れれば、私と玲央さんの関係は不倫。
そして私は愛人。
たとえそれが純愛であっても………許されない恋なんだ。
本当は少し期待していた。
次玲央さんと逢うときは、ご両親を説得して婚約もきちんと破棄して、私だけの玲央さんになって迎えに来てくれるんじゃないかって。
私と玲央さん、誰からも祝福される関係になれるんじゃないかって。
………でもそれも叶わなかったんだね。
何よりも、智志さんの言葉で思い浮かんだ両親の顔。
今のままだと私は、いつまでたっても自分の親を幸せにしてあげられない。
うちの両親だって5年前の婚約破棄で心に傷を受けたままの状態なのに。
玲央さんだって、私を選べばきっと家族関係も仕事上でも支障が出るに決まっている。
大切なお医者様のお仕事も失うかもしれない………。
いろんな観点から見て明らかだ。
私たちが結ばれても………私たちも周りの人たちも幸せになれない。
だからもう私は………
………玲央さんを諦めるしかないんだ。
互いの幸せのために。
「………うん。
サヨナラ、しよ?」
最初のコメントを投稿しよう!