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確かに水だった。さっきまで日本酒だったのにどうしたのだろう。
「あんた、疲れてるんじゃない」
「大丈夫、ちょっと勘違いしただけ。」
母は怪訝な顔をしてその場を離れた。
その直後、
「ドンドン、ドンドン」
窯の中から音が聞こえてきた。
「ドンドン、ドンドン」
まるで足でおじさんが棺を蹴っているように聞こえた。
あげくには
「あつい、あつい、助けてくれ」
おじさんの声まで聞こえてきた。怖くなって離れの控室の端まで行って横になって休んだ。それから死んだように眠った。
こうして葬儀は何とか終わったが、その後も不思議なことが続いた。墓参りに用意した酒がなくなるとか、夜な夜な「今日子はいるか」などという幻聴が」聞こえた。もう少しでおかしくなるところだった。
でももうそれも終わりだろう。
「ポクポクポクポクポク」
「今日子お焼香」
「あらやだ、ごめんなさい」
おじさんが亡くなってから3か月後金物屋の西本さんが亡くなった。
酔っぱらって川へ落ちでおぼれ死んだのだ。今日はそのお葬式。
騒がしいおっちゃんだったがいなくなると寂しく思えるのが不思議だ。
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