0人が本棚に入れています
本棚に追加
白い。
天井もカーテンもベットも白い。
只白い沈黙だけ。
フと脇を見ると茶色い跳ねた塊がいた。
「「こたろう!!」」
沢山のチューブに繋がれた呼吸器と痛みによって
かすれた息しか漏れなかった。
それでもこたろうは気づき顔を上げた。
悲しそうな表情からたちまち花が綻んだように笑った。
「「大丈夫、独りにしないよ」」
安心させようと手を伸ばした瞬間
真っ白い世界のドアが音を立てて開いた。
「隆太!!」
聞き覚えのある声だ。
そうだ。私の幼馴染の春人だ。
私はこたろうからドアの方へと目を移した。
春人はショートエプロンを着けたままで、手には銀色のお盆を持っていた。
バイト先から慌ててきたのがまるわかりだ。
普段のしっかり者の彼からは想像できない状態なので笑ってしまった。
「「そんな慌ててこなくても、私は死なないよ」」
だってこたろうがいるから。死ねないよ。
「…っ馬鹿。赤信号に何かを追いかけて突っ込む馬鹿を
心配しないでどする。
……本当にお前が無事でよかった」
最初のコメントを投稿しよう!