脅迫フリーキック

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僕、立花純平は、サッカー好きの高校生だ。部活はもちろんサッカー部。しかし、自分で言うのも変だが、サッカーは決して上手くない。ベンチが定位置で、小学校から一度たりともスタメンで試合に出た事が無い。 そんな僕の唯一の取り柄は、ロングパス。昔からボールを遠くに飛ばす事だけは自信があった。調子が良い時には、自陣のゴールから、相手のゴール前まで飛ばす事が出来た。 キーパーをやれば良いと言う人もいるかもしれないが、それは出来ない。 身長が160cmしか無いのだ。 こんなにチビでは、両手を伸ばしても、相手のヘディングを止められない。 そんな僕でも、いつか代表に選ばれる日を夢見て、今日もサッカーボールを蹴っていた。 そんな僕に、思いもよらぬ幸運が訪れた。透明になれるコートを手に入れたのだ。父親が、アパレルの社長をしており、春の新作を開発していた時、偶然出来てしまったものらしい。作った本人もなぜ透明になるのか理屈が分からないらしく、気味悪がって捨てようとしていた時、僕が引き取ったという訳だ。 僕は早速コートを羽織り、国立競技場へと向かった。勿論、日本代表対ブラジル代表のワールドカップ決勝を見る為だ。
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