脅迫フリーキック

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僕、立花純平は、透明になれるコートを羽織り、ワールドカップ決勝が行われようとしている国立競技場にやってきた。 会場に着くと、試合開始まで、あと30分。そこには国立競技場を囲むように、人、人、人。凄まじい数の人が集まっていた。 僕は、その人だかりをなぎ倒しながら、会場の中へと続く階段を駆け上がった。 僕に倒された人は、ちらりと背後を振り返るものの、僕に気付く事は無かった。 やっとの思いで入場口を見つけた僕は、チケットを確認するもぎりのお兄さんを横目に、会場の観客席へと押し入った。 会場に入ると、視界に鮮やかな緑色のグラウンドが広がった。ここが、国立かあ。グラウンドでは、既に選手がウォーミングアップを始めている。あれは!木田だ! 僕はグラウンド内へと入っていった。そこには、日本代表の選手達が、勢ぞろいしていた。選手達は、ボールを使ってパス回しをしている。その軽やかな身のこなしに僕は息をのんだ。 僕は、透明なコートに感謝をした。1メートルも離れていないような近い距離で、選手を見れるなんて、選手にならないと出来ない経験だろう。それを、僕みたいな《サッカー部の試合でもベンチに座っているような》人間が経験出来るなんて。 よし、今日は僕は、12人目の選手になるんだ。僕の中で、スイッチが入る音がした。
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