脅迫フリーキック

6/16
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
試合会場に、日本代表のスターティングメンバーを告げるアナウンスが鳴り響く。キーパーから、順に読み上げられるそのアナウンスが、近藤と告げた時、会場に歓声が上がった。そして、そのアナウンスが木田と続いた時、会場が爆発したような轟音が響いた。それが、サポーターの心情を如実に表していた。日本代表の一番人気は、紛れもなく木田であった。 会場に、選手入場のアンセムが流れる。僕は、選手が子供達の手を握って入場する後ろに続いた。 会場に入場すると、一斉にカメラのシャッター音が僕達に向けられた。数え切れない人の目が、僕達を凝視している。これが、サッカー選手の目線なのか。 僕は、腹わたを握られたような圧迫感を感じた。 入場行進が終わると、選手はお互いの肩を掴み、カメラマンの前に整列した。僕は、選手が並ぶ一番最前列で横に寝そべりながらピースをしたのだが、気付く人は誰もいなかった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!